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同じ作者の、
ロシア語翻訳者の立場からのエッセイは面白い。
ということで読んでみた『真夜中の太陽』。
間違ったorz
内容は99年ごろの日本への苦言、つか文句。
申し訳ないが、
「昔は良かった」「こんなんじゃなかった」「今はダメ」
というステレオタイプの論調にしか読めなかった。
そういう年寄りの繰り言系現代呪詛にしても、
ブラックユーモアで面白く書けてたら、まだよかったんだけど。
神ならぬ人の身、
色眼鏡越しにしかこの世界を見ることはできないのだ。
だから同じ時代、同じ国に生きていても、
楽観的な人・悲観的な人、それぞれがいる。
(『ローマ人の物語』でもそんなこと言ってなかったっけ?)
で、私は楽観的なのだ。
衣食住に困ることなく、
日常的に命の危険にさらされることなく、
教育を受けられて、
救急搬送が受け入れられなかったことがニュースになるくらい
医療サービスが当たり前とされる社会は、
「幸せ」だと思っている。
なのでこうもぐだぐだと文句をつけられても、
「はあ」
としか言いようがない。
そして段々不愉快になってくる。
生臭い話だが、これは売っている本じゃないか。
原稿料も印税ももらっている(と思われる)。
それのカネの元は、こうして本を買う読み手なのだ。
カネをとる以上、せめて読み手になにか与えてもらいたい。
現代日本への苦言が悪いというんじゃない。
ただ「社会の正しいあり方」を語るために勉強している専門家
(社会学者とか政治学者とか予言者とか?w)
でもない、そういう意味ではシロウトの人が、
目新しい切り口からというわけでもなく、
しかも面白く読ませる文章技術もないまま、
ただ不平不満ばかりを書き連ねている本は、
少なくとも私にはなにも与えてくれない。
この本の文章が書かれてから8年以上たっているが、
文中で手抜きだ寿命だと言われた山陽新幹線のトンネルはまだ無事で、
今日も0系アンコールさよなら運行で使われている。
コンクリートより木のほうが寿命が長いから基本資材は木材にしよう、
なんて話はどこからも出ていない。
たぶん。
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